下の表は米国株式を30業種に分けて1927年からのリターンとリスクの関係を示したデータです。左から業種、リターン、リスク、シャープレシオ(リターン÷リスク)を示しておりシャープレシオの順番で並べています。シャープレシオが高い程、効率良く投資をしていると言われています。
順位が高いのは食品、たばこ、ヘルスケア等のシーゲル教授が仰っている業種と同じです。長期的な投資ではやはり生活必需品セクターとヘルスケアが有望だとこのデータからも推察されます。またAT&Tやベライゾンといった通信関係も良好なリスクリターンの指標となっています。
逆に投資効率が悪いのは石炭・鉄鋼・卸売業等です。石炭・鉄鋼は世界的な競争が激化している業種であり競争に勝つためには大規模な設備投資が必要であることから株主のリターンは最悪です。卸売業は昨今厳しい状況です。日本でもイオン等の小売は卸売業者を介さないPBブランドを強化しており、ニトリやユニクロは製造から小売まで一貫して対応するビジネスモデルで成長しています。このような環境変化により卸売業者もリターンは低いです。
*元データはこちらです「Kenneth R. French - Data Library」
下のグラフは各業種リスク・リターンの関係を示したものです。通常、ハイリスクな投資に対して投資家はハイリターンを求めるためグラフは右上がりにあります。しかし、過去の実績においては逆にハイリスクな投資ほどリターンが少ない結果となりました。
この関係は非常に重要でボラティリティを抑えた投資が重要であることを示しています。
下のグラフは1998年から昨年までの業種別ETFのリターン(配当再投資後)とリスクの関係を示したものです。こちらでも高リスクの業種は低リスクの業種に比べ相対的にリターンが劣っていることが分かります。低リスクの業種(生活必需品、ヘルスケア、公益事業)は高リスク業種(テクノロジー、金融、素材、エネルギー)に比べて投資効率が高いということです。
*1998年から2016年9月までの業種別ETFに投資したデータ(配当再投資後)
- 低リスク(ボラティリティが低い)銘柄は投資効率が高い
- 生活必需品、ヘルスケア、公益事業は投資効率が高い
この2点が過去のデータで分かることです。低ボラティリティ戦略ではS&P500 低ボラティリティETF(SPLV)があります。SPLVの銘柄を参考に個別銘柄で投資してもいいと思います。JNJやMMM、PEPは配当貴族銘柄です。2位のリパブリック・サービシズ(RSG)と5位のウェイスト・マネジメント(WM)は廃棄物処理業者です。
SPLVトップ5銘柄
生活必需品、ヘルスケア、公益事業は各セクターETFがスパイダーとバンガードからでています。私は信託報酬の低いバンガードに投資しています。
ティッカー | 信託報酬 | ティッカー | 信託報酬 | |
生活必需品 | XLP | 0.14% | VDC | 0.10% |
ヘルスケア | XLV | 0.14% | VHT | 0.10% |
公益事業 | XLU | 0.14% | VPU |
0.10% |